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相続したマンションの売却でかかる税金は?計算方法・特例・確定申告まで解説

相続したマンションを売却するときは、相続時にかかる相続税とは別に、売却益に対して譲渡所得税・住民税がかかる場合があります。相続したマンションの売却でかかる税金とは、主に印紙税・登録免許税・譲渡所得税(住民税・復興特別所得税を含む)の3種類です。相続税と譲渡所得税が二重にかかるのではと不安に感じる方もいますが、この2つは課税される場面が異なる別の税金です。
本記事では、相続したマンションの売却でかかる税金の種類と計算方法、使える特例、確定申告の要否までを順に整理します。
相続したマンションの売却でかかる税金の種類【一覧】

| 税金の種類 | いつかかるか | 何に対して | 税額の目安 |
|---|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約の締結時 | 売買契約書 | 数百円〜数万円(売却価格による) |
| 登録免許税(相続登記) | 相続で名義変更するとき | 固定資産税評価額 | 評価額×0.4% |
| 登録免許税(抵当権抹消) | ローン完済・売却のとき | 登記1件ごと | 不動産1個につき1,000円 |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却して利益(譲渡所得)が出たとき | 譲渡所得 | 長期20.315%/短期39.63% |
相続税と譲渡所得税は分けて考える|課税の場面が違う
相続したマンションの税金を考えるときは、相続税と譲渡所得税を分けて捉えることが大切です。相続税は、亡くなった方から財産を相続した時点で、その財産の価額に対して課される税金です。一方の譲渡所得税は、不動産などを売却して利益(譲渡所得)が出た時点で、その利益に対して課される税金です。 このように、相続税は「相続した時点」、譲渡所得税は「売却して利益が出た時点」と、課税される場面が異なる別々の税金です。したがって、同じ利益に対して二重に課税されるわけではありません。なお、相続税を納めている場合は、後述する取得費加算の特例によって譲渡所得税の負担を抑えられる可能性があります。相続したマンション売却でかかる税金①印紙税・登録免許税

印紙税|売買契約書に貼付、価格に応じて数百円〜
印紙税は、不動産の売買契約書に収入印紙を貼付する形で納める税金で、契約書に記載された金額(売却価格)に応じて税額が決まります。不動産の譲渡契約書には軽減措置が設けられており、たとえば売却価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、軽減後の印紙税額は1万円です。おおまかな目安は次のとおりです。| 契約金額(売却価格) | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 500万円超 1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 3万円 |
登録免許税(相続登記)|固定資産税評価額×0.4%
相続したマンションを売却するには、まず亡くなった方から相続人へ名義を変更する相続登記が必要です。この相続登記にかかる登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%です。たとえば固定資産税評価額が1,000万円のマンションなら、登録免許税は4万円程度となります。 なお、相続登記は2024年4月から義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を行う必要があります。正当な理由なく怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる場合があります(2026年7月時点の制度です)。登録免許税(抵当権抹消)|不動産1個1,000円
売却するマンションに住宅ローンなどの抵当権が残っている場合は、売却の際に抵当権を抹消する登記が必要になり、ここでも登録免許税がかかります。抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。一般的な区分マンションの場合は土地と建物のそれぞれにかかるため、通常は合計2,000円程度となります。 なお、抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼する場合は、上記の登録免許税とは別に、司法書士報酬(1〜2万円程度が目安)がかかります。相続したマンション売却でかかる税金②譲渡所得税・住民税

譲渡所得の計算式|売却金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除
譲渡所得(不動産を売却して得られる利益にかかる所得)は、次の式で計算します。譲渡所得 = 売却金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
| 所有期間(売却年の1月1日時点) | 区分 | 税率(所得税・復興特別所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315% |
国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
取得費と減価償却|不明なら概算取得費5%、投資用は簿価に注意
取得費とは、売却したマンションを取得するためにかかった費用のことです。相続したマンションの場合は、被相続人がそのマンションを購入したときの代金や購入時の諸費用などを、相続人が引き継いで取得費として計上できます。 ただし、建物部分については、経過年数に応じた減価償却(建物の価値が年々目減りする分を差し引く計算)を行った後の金額が取得費になります。また、購入時の契約書などが見つからず取得費が分からない場合は、売却価格の5%を概算取得費として使うこともできますが、実際の取得費より大幅に低くなりやすく、その分だけ譲渡所得が大きくなって税負担が増えやすい点に注意が必要です。契約書が見当たらない場合は、購入時の不動産会社やローンを利用した銀行に問い合わせ、通帳履歴等を遡る方法もあります。 とくに、親が投資用として保有し賃貸に出していたマンションの場合は、減価償却によって帳簿上の価額(簿価)が下がっているため、売却価格が購入価格を下回っていても、計算上は譲渡所得が出て課税されるケースがあります。 投資用マンションの売却でかかる税金や節税・確定申告のポイントについて詳しく知りたい方は、「投資用マンションの売却にかかる税金はいくら?2026年の最新ルールと節税・確定申告のポイントを解説」もあわせてご覧ください。譲渡所得税のシミュレーション|計算の流れを具体例で確認
譲渡所得と税額の求め方を、具体的な数値を仮定して段階的に確認してみます。ここでは、売却価格2,000万円、引き継いだ取得費(建物は減価償却後)1,200万円、譲渡費用100万円、所有期間は被相続人の取得日を引き継いで5年超(長期譲渡所得)と仮定します。① 譲渡所得 = 2,000万円 −(1,200万円 + 100万円)= 700万円
② 税額 = 700万円 × 20.315% ≒ 142.2万円
上記は計算の流れを示すために単純化したモデルケースです。実際の税額は、取得費・減価償却累計額・譲渡費用・所有期間・特例の適用状況などにより異なります。個別の試算にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。
相続したマンションの売却で使える税金の特例・控除

取得費加算の特例|相続開始の翌日から3年10か月以内が期限
取得費加算の特例は、相続税を納めた方が、相続開始の翌日から3年10か月以内に相続した不動産を売却した場合に、納めた相続税額のうち一定額を取得費に加算できる制度です。取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、譲渡所得税・住民税の負担を抑えられる可能性があります。 この特例は、賃貸中だった投資用マンションであっても、相続税を納めていれば対象になり得ます。ただし、期限を過ぎると適用できないため、売却のタイミングには注意しましょう。国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続空き家の3,000万円特別控除|区分所有マンションは対象外
「相続空き家の3,000万円特別控除」は、被相続人が亡くなる直前まで住んでいた居住用家屋(空き家)を相続人が売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。ただし、対象となるのは昭和56年5月31日以前に建築された一定の家屋などで、区分所有建物として登記された分譲マンションは原則として対象外です。 名称が似ているため後述の居住用財産の特例と混同されやすいですが、別の制度です。また、原則として取得費加算の特例とは併用できません。適用対象となるのは、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ令和9年(2027年)12月31日までの譲渡で、相続人が3人以上いる場合は1人あたりの控除額が2,000万円になります(2026年7月時点の制度です)。国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
居住用財産の3,000万円特別控除・軽減税率|賃貸中は使えない
マイホーム(自分や家族が住むための住宅)を売ったときの3,000万円特別控除や、所有期間10年超の場合の軽減税率は、あくまで居住用(マイホーム)の不動産が対象です。そのため、賃貸中や空き家の投資用マンションでは、原則として使えません。 なお、相続した後に相続人が自ら居住した場合など、個別の事情によって取り扱いが変わるケースもあります。判断に迷う場合は、税理士等の専門家に確認しましょう。相続したマンション売却の税金以外の費用

| 費用の種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税(800万円超の場合の上限)※800万円以下は2024年7月施行の特例により最大33万円(税込)となる場合あり |
| 住宅ローン完済(繰上返済)手数料 | 無料〜数万円程度(残債の1〜2%程度の定率型では高額になる場合もあり) |
| 抵当権抹消の司法書士報酬 | 1〜2万円程度 |
相続したマンション売却で確定申告が必要なケース

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Q相続税と譲渡所得税は二重にかかりますか?
A 相続税は相続した時点、譲渡所得税は売却して利益が出た時点にかかる別の税金です。二重課税ではありませんが、相続税を納めた場合は、取得費加算の特例によって譲渡所得税の負担を抑えられる可能性があります。
Q相続したマンションでも3,000万円の特別控除は使えますか?
A 相続空き家の3,000万円特別控除は区分所有の分譲マンションが対象外で、居住用財産の特別控除もマイホームが前提です。賃貸中の投資用マンションでは原則として使えないため、取得費加算の特例の活用を検討するとよいでしょう。
Q取得費が分からないときはどう計算しますか?
A 取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として計上できますが、税負担が大きくなりがちです。まずは、被相続人の売買契約書や通帳の記録などから、実際の取得費を確認できないか探すことをおすすめします。
Q売却益が出なくても確定申告は必要ですか?
A ここでいう売却益とは、売却価格から取得費・譲渡費用を差し引いた譲渡所得のことです。譲渡所得がプラスでなければ申告は基本的には不要ですが、建物は減価償却後の金額が取得費になるため、購入価格を下回る価格で売れても譲渡所得が出て、申告・納税が必要になるケースがあります。また、同じ年に他の不動産の譲渡益があり損失と通算する場合や、特例・控除を使うときも申告が必要です。判断に迷う場合は、税理士等の専門家にご相談ください。
まとめ

【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令・市況は2026年7月時点の情報に基づいており、今後変動・改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。



