マンション売却ガイド
投資用不動産売却の注意点とは?失敗しないための売り時・税金・手続きのポイントを解説

投資用不動産の売却は、初めての場合は「何に気をつければよいのか」が分かりにくいものです。不動産売却の注意点には、相場の把握や会社選びといったマイホーム売却と共通するものに加え、投資用ならではのポイントがあります。たとえば譲渡所得税の計算や減価償却の影響、ローン残債の扱い、売り時の判断などです。マイホームと同じ感覚で進めてしまうと、手取りが想定より目減りするケースもあります。
本記事では、売却前の準備から手続き・契約、費用と税金、売却のタイミングまで、投資用物件を所有するオーナーが失敗や後悔を防ぐための注意点を、順に整理します。
投資用不動産の売却で押さえたい注意点

| 注意点の分類 | 主なポイント |
|---|---|
| ①売却前の準備(相場・会社選び) | 収益還元法・現行賃料をふまえた相場の把握、投資用物件に強い不動産会社の選定 |
| ②手続き・契約 | ローン残債の完済・抵当権抹消、媒介契約の種類の理解、売買契約書・契約不適合責任の確認 |
| ③費用・税金 | 仲介手数料・印紙税・登記費用、譲渡所得税、減価償却が取得費に与える影響 |
| ④売り時 | 長期譲渡への切り替わり、金利・相場の動き、物件の状態(修繕・耐用年数など) |
【売却前】相場・査定・不動産会社選びの注意点

相場を把握せずに売り出さない|収益還元法と現行賃料が基準
事前に相場を把握しておかないと、提示された査定額が適正かどうかを判断しにくくなります。投資用不動産では、収益還元法(年間の純収益〈NOI〉を還元利回りで割って価格を求める考え方)や、現行の賃料が価格の基準になりやすい傾向があります。 ただし、収益還元だけで価格が決まると言い切れるものではありません。退去後に賃料の引き上げを見込む買主もいるため、複数の要素をふまえて価格が形成されると考えておくとよいでしょう。成約事例の相場感をつかむ手がかりとしては、国土交通省の不動産情報ライブラリで実際の取引価格を調べる方法があります。査定額だけで決めない|投資用物件に強い会社に相談する
提示された査定額の高さだけで依頼先を決めるのは避けたいところです。投資用マンションの売却実績が豊富な会社に相談したほうが、価格の根拠や出口のイメージを共有しやすくなります。 投資用では、多くの会社に同時に情報を出すことが必ずしも有利に働くとは限りません。不特定多数の業者から営業連絡が入るほか、所有者リストとして情報が出回るリスクや、実現不可能な高額査定を提示され媒介契約を結んだもののまったく動きがない状態となるリスクがあるためです。まずは実績があり信頼できる会社に絞って相談するのがおすすめです。特に販売が得意な会社と直接やり取りできた場合、思わぬ高額査定につながることもあります。 仲介と買取のどちらが自分に合うかを、実質的な手残りの観点から詳しく知りたい方は、『投資用マンションの仲介と買取の違いは?「実質的な手残り」で考える本当の選び方』もあわせてご覧ください。【手続き・契約】ローン残債・媒介契約・契約書に関する注意点

ローン残債は決済時に完済・抵当権抹消|繰上返済手数料に注意
住宅ローンなどの残債があっても、売買契約そのものは締結できます。ただし、引渡し(決済)のときまでに残債を完済し、抵当権を抹消しておく必要があります。一般的には、決済で受け取った代金でローンを一括返済し、同時に抵当権を抹消する流れになるケースが多くなります。 残債がある場合は、金融機関へ早めに連絡し、完済の手続きや必要書類を確認しておきましょう。繰上返済の際には手数料がかかる場合があり、無料〜数万円程度が中心ですが、残債の1〜2%程度の定率型では高額になることもあります。手残りに影響するため、事前に把握しておくと安心です。 ローンが残っている状態での売却の進め方について詳しく知りたい方は、「不動産投資は途中で売却できる?ローンの残債がある場合の対処法を解説」もあわせてご覧ください。媒介契約の種類を理解する|一般/専任/専属専任
不動産会社に仲介を依頼する際に結ぶ媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。依頼できる会社数や、自分で買主を見つける自己発見取引の可否、不動産会社からの報告義務などが異なります。内容を理解しないまま契約すると、想定と違った販売活動になることもあるため、違いを押さえて選びましょう。| 種類 | 依頼できる会社数 | 自己発見取引 | 販売状況の報告義務 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | 複数社に依頼できる | できる | 法令上の義務はなし |
| 専任媒介 | 1社のみ | できる | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介 | 1社のみ | できない | 1週間に1回以上 |
売買契約書・契約不適合責任を確認する|賃貸中の引継ぎにも注意
売買契約書や重要事項説明書の確認を怠ると、引渡し後のトラブルにつながることがあります。契約不適合責任(引き渡した物件が契約内容に適合しない場合に売主が負う責任)の範囲や期間などは、契約前によく確認しておきましょう。 賃貸中のまま売却するオーナーチェンジの場合は、賃貸借契約の内容や敷金の引継ぎ条件も確認が必要です。入居者との契約がそのまま買主へ引き継がれるため、賃料や契約期間などの条件を、契約書で明確にしておくと安心です。【費用・税金】投資用特有の税金に関する注意点

投資用不動産売却には仲介手数料・印紙税・登記費用がかかる
投資用不動産を売却する際には、主に次のような費用がかかります。金額は物件や契約内容によって変わるため、あくまで目安として確認しておきましょう。| 主な費用 | 目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税(800万円超の場合の上限額)※800万円以下は2024年7月施行の特例により最大33万円(税込)となる場合あり。買取の場合は不要となるケースが多い |
| 印紙税 | 売買契約書の記載金額に応じて課税。金額は国税庁の一覧表を参照 |
| 抵当権抹消の登記費用 | 不動産1個につき1,000円(マンションは土地+建物で通常2,000円)。別途、司法書士報酬が1〜2万円程度かかる場合が多い |
譲渡所得税は保有期間で税率が変わる|短期39.63%/長期20.315%
売却によって譲渡所得(売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた利益)が出た場合、譲渡所得税がかかります。この税率は、物件の所有期間によって変わります。所有期間が5年以下の短期譲渡所得は39.63%(所得税30.63%+住民税9%)、5年を超える長期譲渡所得は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。 注意したいのは、所有期間が「譲渡した年の1月1日時点」で判定される点です。実際の所有日数では5年を超えていても、1月1日を基準にすると短期扱いになる場合があります。ここを見落とすと税率の高い短期区分に該当することもあるため、時期の見極めが大切です。国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算/国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
購入価格より安く売っても課税されることがある|減価償却で取得費が下がるため
「購入価格より安く売れば利益は出ないので税金はかからない」と考えがちですが、投資用では必ずしもそうとは限りません。建物部分は保有期間中に減価償却されるため、取得費(簿価)が徐々に下がっていきます。その結果、売却価格が購入価格を下回っても、計算上の譲渡所得が発生し、課税されるケースがあります。 売却時に価格が下がったことが、そのまま投資の損失を意味するとも限りません。保有期間中の節税効果や家賃収入、ローン元本の返済分などを含めたトータルで判断することが大切です。個別の取得費や減価償却の計算は複雑になりやすいため、不明な場合は税理士等に確認しておくとよいでしょう。国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
マイホーム特例は使えない|消費税・確定申告にも注意
居住用財産の3,000万円特別控除などのマイホーム特例は、自ら居住したことのない投資用不動産には原則として使えません。マイホームの売却で使える控除がそのまま適用できるわけではない点に注意しましょう。 また、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるなどして課税事業者に該当する場合は、建物部分の売却に消費税が生じることがあります。譲渡益が出た場合や特例を利用する場合は、原則として売却した翌年に確定申告が必要です。判定が複雑なケースもあるため、自分が課税事業者に該当するか不明なときは、税理士等に確認しておくと安心です。 確定申告に必要な書類や書き方、期限について詳しく知りたい方は、「投資マンションの売却後に確定申告は必要?書類・書き方・期限を初心者向けに徹底解説」もあわせてご覧ください。【売り時】投資用不動産を売却するタイミングの注意点

長期譲渡(5年超)になる時期を意識する
前述のとおり、所有期間が5年を超えると譲渡所得税の税率が下がるため、売却時期によって手取りが変わります。判定は「譲渡した年の1月1日時点」で行われるため、長期譲渡に切り替わる時期を意識しておくとよいでしょう。緊急性がなければ、長期区分になるまで待つのが一般的です。なお、譲渡損失が出る見込みであれば待つ必要はありません。 なお、売却を検討する節目は5年超だけではありません。所有から10年・15年・20年といった年数の区切りも、減価償却の残りやローンの返済状況、出口戦略を見直す一つのタイミングになり得ます。金利の上昇局面は価格が下がりきる前の売却を検討する
金利が上昇する局面では、買主のローン条件が厳しくなり、需要や価格に影響することがあります。金利の動きを見通すことは容易ではないため、「金利上昇局面では買主の資金調達環境が厳しくなりやすい」という方向性を押さえ、早めの売却も検討材料の一つに加えておくとよいでしょう。相場が上向きの局面は売却を検討しやすい
エリアの取引価格や賃料相場は変動します。直近の相場を定期的に確認しておくと、売り時の判断がしやすくなります。相場が上向きの局面では、売却を検討しやすいケースが多いといえます。大規模修繕・法定耐用年数・デッドクロスを見極める
投資用ならではの売り時のサインもあります。大規模修繕による一時的な支出が見込まれる時期、法定耐用年数の経過によって買主が融資を受けにくくなるタイミング、減価償却費が減る一方でローン元本の返済が上回るデッドクロスなどです。こうした収支や融資の変化は、売却を検討する材料になり得ます。賃貸中(オーナーチェンジ)なら価格を読みやすい
賃貸中のまま売却するオーナーチェンジでは、現行の賃料が価格の基準になりやすいため、想定価格を読みやすい面があります。一方で空室の場合は、収益が読みにくくなるものの、購入後の賃料を買主が自由に設定できるため、かえって高く評価される物件・エリアもあります。空室が一律にマイナスとは限りません。 入居状況(入居中か空室か)によって、売り出し方や想定価格は変わります。まずは物件の状況を伝えたうえで相談し、方針を判断していくとよいでしょう。売却の第一歩は「今の想定価格」を把握することから

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面倒な手続きやしつこい営業電話はなく、現時点での投資用不動産の売却価格の目安を確認できます。直接取引のため仲介手数料は0円。最短翌日契約でスピード売却にも対応できます。さらに、人力中心の不動産業界に対し、FANTAS checkはAIを活用した少数精鋭体制で運営しているため、人件費を抑えた分を売却価格に還元しやすい仕組みになっています。不動産売却の注意点に関するよくある質問

Q入居者がいるままでも売却できますか?
A 賃貸中のまま売却するオーナーチェンジという方法があり、入居者がいる状態でも売却できるのが一般的です。賃貸借契約や敷金などは買主へ引き継がれるため、契約内容を確認したうえで進めるとよいでしょう。現行賃料が価格の判断基準になりやすいため、想定価格を読みやすい面もあります。
Q不動産売却でやってはいけないことは何ですか?
A 相場を確認せずに売り出す、査定額の根拠を確認しない、ローン残債を確認しないといった行為は、避けたい代表例です。投資用では、税率が下がる前に売り急ぐことも、手取りを減らす要因になり得ます。準備段階で相場と条件を丁寧に確認しておくことが大切です。
Q売却益が出ていなくても税金はかかりますか?
A 減価償却によって取得費が下がるため、手元に現金が残らない場合でも、計算上の譲渡所得が生じて課税されるケースがあります。また、印紙税や登記費用は、利益の有無にかかわらず発生します。個別の計算は複雑になりやすいため、必要に応じて税理士等に確認しましょう。
Qローンが残っている投資用不動産は売却できますか?
A 原則として、売却代金や自己資金でローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。完済が難しい場合は、任意売却などが選択肢になることもあります。いずれの場合も、金融機関へ早めに相談しておくことが大切です。
まとめ

【免責表記】本コラムは情報提供を目的としたものであり、特定の不動産の売買・投資を推奨するものではありません。税制・法令・市況は2026年7月時点の情報に基づいており、今後変動・改正される可能性があります。実際のお取引・税務申告にあたっては、専門家にご相談ください。




